寒い季節に小児にしばしば見られる「なめまわし皮膚炎」は乾燥した唇をなめ回すために口が荒れてしまう皮膚病です。
口の周りに赤みや荒れに気がついた時には、「なめまわし皮膚炎」を疑いましょう。
なめまわし皮膚炎は、「口なめ病」とか「舌なめずり病」とも呼ばれています。口の周りの舌が届く範囲に、正常部と病変部の境界にはっきりとした赤みが生じます。
完走した唇を無意識に湿らせようと、舌でなめることが発症のきっかけになります。なめると一時的に皮膚がだ液でしっとりしますが、皮脂膜がなめ取られるために皮膚が乾燥しやすくなります。
繰り返しなめる物理的な刺激と皮膚の乾燥によって亀裂や角質のはがれが生じ、かゆみやヒリヒリ感が強まります。
乾燥する時期やアトピー体質の小児によく見られます。白色ワセリンやヘパリン類似物質の含まれる保湿剤をこまめに口の周りに塗ることが予防として大切です。
しかし、いったん皮膚が荒れると自然に治りにくくなります。ステロイド外用薬によって治る皮膚炎なので、適切な外用薬の選択とスキンケアをすることが大切です。
食べ物が皮膚への刺激になっていることも考えられます。肌が荒れているうちはヤマイモ、サトイモ、パイナップル、キウイなど結晶が針状になっているシュウ酸カルシウムを含む食べ物や塩辛い食べ物は控えましょう。
ただ、口の周囲にかゆみや痛みが生じる皮膚炎だからといって、必ずしもなめまわし皮膚炎とは限りません。治りが悪い場合は、アレルギー性の接触性皮膚炎のケースも考えられます。その原因物質は練り歯磨きやリップクリーム、食べ物などさまざまで、原因を突き止めたら、それとの接触を避けることが重要です。
口周囲に皮膚炎ができている時、悪化するのは何を食べた時か、口周囲をなめ回していないか、口周囲に触れた物があるかなどをよく観察することも大切です。