- 家庭の医学 -
よく見られる子どもの病気

心臓震盪(しんぞうしんとう)

心臓しんとうの多くはスポーツ中の子どもに起こり、日本で知られるようになったのは2000年過ぎです。

胸に受けた衝撃が原因で、心臓が不規則にけいれんする心室細動から心停止に至ります。スポーツ中の子ども達の突然死に至る事故を防ぐために、自動体外式除細動器(AED)の持参と救命講習を受けておくことが大切です。

心臓しんとうが多いスポーツは野球で、取り損ねたボールが胸に当たった直後、突然に脱力状態になります。ワンバウンドのボールのような比較的軽い衝撃でも起こるため、子どもの球速くらいでも心臓しんとうを起こすことがあります。

心臓しんとう 心臓震盪

心臓しんとうは心臓が収縮した後に元に戻ろうとする瞬間、時間にして1000分の15秒というわずかなタイミングに合わせて衝撃が加わると起こります。スポーツをしている時や、子ども通しがふざけて、肘や膝が胸に当たることでも起こることがあります。心臓病のない健康な子どもに起こるのが特徴と言われます。

日本では1997年から2015年に46件発生し、うち36件がスポーツ中でした。発生年齢は中学生から高校生がピークで、クラブ活動などの機会が多い年齢です。子どもに多い理由は、心臓や肺を取り囲む胸郭という骨格が発達途中で柔らかく、心臓に与える衝撃の影響が大きいからと考えられます。

心臓しんとうの発生状況
図1心臓しんとうの発生状況

命を救うために必要なのがAEDです。けいれんして血液が送り出せなくなっている心臓に電気ショックを与え、正しいリズムを取り戻します。AEDが生死を左右すると言っても過言ではありません。3分以内に電気ショックをかけることができれば、ほぼ助かります。

心臓しんとう AED

AEDのない場所で子どもが倒れたら、胸骨圧迫などの心肺蘇生が必要です。居合わせた人たちで胸骨圧迫ができるように、保護者らも救命講習を受けておくことが大切です。練習や試合の現場にAEDを持参し、自分たちの命は自分たちで守るという意識が大切です。

心臓しんとうは日常のささいな場面で起こります。自分の子どもは大丈夫と過信せずに、万が一起こった時を想定して、子どもや指導者、保護者も交えた救急対応を日頃から練習しておくことが、子どもの命を救うことにつながります。

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