いろいろな血管炎を理解する上で、有名な図表があります。
実地臨床の場ではこれら血管炎に血管型ベーチェット病とバージャー病(TAO)を鑑別に加えると診断上より一層有用ではないかと考えています。
さらに、ANCA関連血管炎と抗GBM抗体関連疾患は、臨床上急速進行性糸球体腎炎RPGNを呈する特徴があります。RPGNをみた場合、これらの疾患を鑑別する必要があります。
たいへん稀な疾患ですが、眼疾患(ぶどう膜炎)、内耳障害を生じ全身性血管炎を伴うコーガン症候群があります。実臨床の場で遭遇することはまずないと思いますが、症例検討で目にすることがあり知っておくと役に立ちます。
血管炎との鑑別診断にコレステロール結晶塞栓症CCEを加えます。
私見ですが、大血管炎に血管型ベーチェット病およびコーガン症候群、中血管炎にバージャー病(TAO)、RPGNを図表に加えてみました。
血管炎は略語で表されることが多く、整理してみましょう。血管炎や動脈炎は英訳では疾患によりarteritis、angitis、vasculitis などと異なって表記されることが分かります。
血管炎と鑑別すべき類似疾患を整理すると、実臨床においてたいへん役に立ちます(私見)。
【私見による追加】
【私見による追加】
CCEは動脈硬化の素因(高齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴など)を持つ者に、血管内操作を伴う検査・治療後に発症します。自然発症例も25%で存在します。検査や治療後まもなく発症する急性型、数週間~数ヶ月かけて進行する亜急性型、および慢性緩徐進行性の経過をとる慢性型があります。
食思不振・体重減少・発熱といった全身症状の他、腎障害・網状皮斑、足趾の紫斑(blue toe syndrome)を呈します。皮疹は細胞虚血の程度によっては有痛性となります。血液検査では、好酸球増多(80%)や炎症反応を伴うため、血管炎との鑑別を要します。
一般にAPSでは中型以上の血管に血栓を形成します。肺梗塞や下肢の深部静脈血栓症などの静脈血栓症、また動脈血栓症として脳梗塞などを認めた時に疑います。
その他、網膜中心動脈閉塞による視力障害、冠動脈血栓症による虚血性心疾患、さらに習慣性流産や網状皮斑や血小板減少症による紫斑などの皮疹も出現します。さらに、てんかん、片頭痛、舞踏病、行動異常、意識障害など多彩な精神神経症状が出現します。
APSの劇症型では細小血管での血栓形成が広汎にもたらされ、脳、心、肺、腎、消化管などの多臓器不全が出現します。