日常外来診療に基づいた総合内科のアプローチ
-- 臨床研修医のために --

血管炎の分類

いろいろな血管炎を理解する上で、有名な図表があります。

血管炎の分類
図1血管炎の分類 Jennette JC et al. Arthritis Rheum 2012 より改変

実地臨床の場ではこれら血管炎に血管型ベーチェット病バージャー病(TAO)を鑑別に加えると診断上より一層有用ではないかと考えています。
さらに、ANCA関連血管炎と抗GBM抗体関連疾患は、臨床上急速進行性糸球体腎炎RPGNを呈する特徴があります。RPGNをみた場合、これらの疾患を鑑別する必要があります。

たいへん稀な疾患ですが、眼疾患(ぶどう膜炎)、内耳障害を生じ全身性血管炎を伴うコーガン症候群があります。実臨床の場で遭遇することはまずないと思いますが、症例検討で目にすることがあり知っておくと役に立ちます。
血管炎との鑑別診断にコレステロール結晶塞栓症CCEを加えます。

私見ですが、大血管炎に血管型ベーチェット病およびコーガン症候群、中血管炎にバージャー病(TAO)、RPGNを図表に加えてみました。

血管炎の分類
図2血管炎の分類(私見を追加)Jennette JC et al. Arthritis Rheum 2012 より改変

血管炎は略語で表されることが多く、整理してみましょう。血管炎や動脈炎は英訳では疾患によりarteritis、angitis、vasculitis などと異なって表記されることが分かります。

血管炎と鑑別すべき類似疾患を整理すると、実臨床においてたいへん役に立ちます(私見)。

大血管炎

  • 高安動脈炎 takayasu arteritis TA(大動脈炎症候群aortitis syndrome)
  • 巨細胞性動脈炎 giant cell arteritis GCA

【私見による追加】

  • 血管型ベーチェット病 vasculo Behçet disease
    動脈瘤、動脈閉塞、深部静脈血栓症、肺塞栓のいずれかを確認します(vasculo Behçet disease:日本アレルギー学会アレルギー学用語集より)
  • Cogan症候群
    高安動脈炎様の大動脈炎が10%程度に報告されています。その結果、大動脈瘤、大動脈弁閉鎖不全、冠動脈起始部狭窄などが認めます。中小動脈の動脈炎も認めます。

中血管炎

  • 川崎病 Kawasaki disease KD
  • 結節性多発動脈炎 polyarteritis nodosa PAN

【私見による追加】

  • バージャー病 Buerger's disease(Thromboangiitis Obliterans TAO)
    下肢動脈に好発し、レイノー現象、遊走性静脈炎を伴う

小血管炎

①ANCA関連小血管炎

  • 顕微鏡的多発血管炎 microscopic polyangiitis MPA
  • 多発血管炎性肉芽腫症 granulomatosis with polyangiitis GPA
  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 eosinophilic granulomatosis with polyangiitis EGPA(Churg Strauss syndrome CSS)

②免疫複合体性小血管炎

  • クリオグロブリン血管炎 cryoglobulinemic vasculitis CV
  • IgA血管炎 IgA vasculitis IgAV(Henoch-Schölein purpura HSP)
  • 低補体蕁麻疹様血管炎 hypocomplementemic urticarial vasculitis HUV

【血管炎と鑑別すべき疾患】

コレステロール結晶塞栓症 cholesterol crystal embolization CCE

CCEは動脈硬化の素因(高齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙歴など)を持つ者に、血管内操作を伴う検査・治療後に発症します。自然発症例も25%で存在します。検査や治療後まもなく発症する急性型、数週間~数ヶ月かけて進行する亜急性型、および慢性緩徐進行性の経過をとる慢性型があります。
食思不振・体重減少・発熱といった全身症状の他、腎障害・網状皮斑、足趾の紫斑(blue toe syndrome)を呈します。皮疹は細胞虚血の程度によっては有痛性となります。血液検査では、好酸球増多(80%)や炎症反応を伴うため、血管炎との鑑別を要します。

抗リン脂質抗体症候群 antiphospholipid syndrome APS

一般にAPSでは中型以上の血管に血栓を形成します。肺梗塞や下肢の深部静脈血栓症などの静脈血栓症、また動脈血栓症として脳梗塞などを認めた時に疑います。
その他、網膜中心動脈閉塞による視力障害、冠動脈血栓症による虚血性心疾患、さらに習慣性流産や網状皮斑や血小板減少症による紫斑などの皮疹も出現します。さらに、てんかん、片頭痛、舞踏病、行動異常、意識障害など多彩な精神神経症状が出現します。

APSの劇症型では細小血管での血栓形成が広汎にもたらされ、脳、心、肺、腎、消化管などの多臓器不全が出現します。

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