日常外来診療に基づいた総合内科のアプローチ
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見逃しやすい浮腫の病態

浮腫と言えば心不全や腎疾患、肝疾患、甲状腺疾患などによるものが、教科書的には主な病態となります。
実臨床で診る機会の多い浮腫は、長時間の立ち仕事、高齢者において歩行障害や長時間の車椅子の利用など生活パターンに伴う慢性下肢浮腫の例です(就下性浮腫:dependent edema)。
男性で意外に多いのが、夏季に水分の取り過ぎによる下肢のむくみです。

更年期前後の女性では、いろいろ検査をしても原因が明らかでない浮腫が稀ならずみられることがあります。このような浮腫では「特発性浮腫」と説明し、利尿剤を屯用してもらい軽減を試みることがあります。

同じように女性に多い浮腫の一つに「脂肪浮腫」があります。思春期頃以降から発症し、妊娠・更年期などに増悪します。脂肪浮腫は、両下腿を中心とする皮下脂肪の蓄積により生じる腫脹で、脂肪組織の蓄積であり液性成分の間質への貯留は認めませんが、脂肪浮腫により2次性にリンパ浮腫を生じる場合があります。
これらの場合非圧痕性となりますが、肥満により静脈環流が障害されると圧痕性浮腫となります。

ここでは症例検討などで取り上げられる機会の多い、やや特殊な浮腫について述べることにします。
浮腫の病態を考えるときに、顔面、上肢、下肢の部位に分けて考えます。さらに、上肢に限局する浮腫では片側性の病態、下肢では両側か片側に分けて考えることにします。

見逃しやすい浮腫の病態
見逃しやすい浮腫の病態

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