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関節痛・筋肉痛と内科の病気

D.不定部位に起こる関節痛や筋肉痛

7化膿性関節炎

化膿性関節炎は、関節に細菌が入り込んで感染し、炎症を起こす病気です。

関節に炎症が起こると、その部位が激しく痛み、表面の皮膚が赤くはれあがって熱を持ちます。そのほか、全身に現れる症状として、悪寒や倦怠感、食欲の低下などがあります。

体中のあらゆる関節に起こる可能性がありますが、膝関節での発症が最も多いようで、ほかに股関節、肩関節、足関節でも発症します。

化膿性関節炎で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)
化膿性関節炎で生じる痛みの部位(※赤丸は主な関節痛の部位)

細菌が関節内に侵入する経路には、以下の4つのパターンが考えられます。

  1. 他の部位で起こった炎症から、血液を介して関節に感染
  2. 深部にまで達するような深い傷口から侵入した細菌に感染
  3. 敗血症、扁桃炎、膀胱炎など、他の病気の発症に関連する細菌に感染
  4. 細菌が付着した注射器による注射で感染

原因となる菌は、黄色ブドウ球菌が最も多く、連鎖球菌、肺炎球菌、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などが多いと報告されています。年齢的には、抵抗力・免疫力の低い幼児や高齢者に多く見られます。

また糖尿病、血液透析、薬物の常用(副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤など)などで治療中の人は、感染に対する抵抗力が落ちているため、化膿性関節炎にかかりやすく、また治りにくくなる傾向があります。

関節の痛み、はれ、熱感、発赤などとともに発熱、悪寒、食欲不振、全身倦怠などの全身症状がみられることもあります。小児の股関節の場合は、深いところにあり関節の状態がわかりにいので、強い痛みのためほとんど関節を動かさない、オムツ交換時にひどく泣く、といった症状が診断の手がかりとなります。

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