子どものリンパ節は年齢とともに発育し、小学校5、6年ころ最も大きくなります。
大多数の子どもで、正常でも1ないし数個のリンパ節を頚部あるいは後頭部に触れます。
小児科外来ではこれを心配して訪れる親御さんが多くいます。
病的なものとしては、炎症性のものが大部分であるが、ときに腫瘍性のものがあることを注意しなければなりません。
風疹では耳介後部、頚部、後頭部のリンパ節腫大がいくつも腫れてきます。
しばしば発疹が出る1~数日前にリンパ節の腫大と痛みを訴えることがあります(写真1)。
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高熱が持続し、写真2から4の例で示すような頚部の大きなリンパ節腫大を認める場合には、川崎病、EBウィルス感染症(伝染性単核症)、壊死性リンパ節炎などを考えなければなりません。
しかし、もっとも頻度が多いのは、細菌性あるいはウィルス性リンパ節炎です。
アデノウィルス感染症は小児科で有名です。
アデノウィルスはプール熱、流行性角結膜炎、胃腸炎などの症状を起こすほか、首筋の筋肉(胸鎖乳突筋)に沿ってリンパ節腫大を起こすことがあります。
小児でも若い成人でも怒りますが、突然首が回りにくくなるほどの痛みを生じます。
2、3日すると自然に良くなります。
白血病や悪性リンパ腫、結核、膠原病、若年性関節リウマチ、サルコイドーシスなどでもリンパ節腫大を起こします。
これらの病気は、多彩な症状を伴うことが多いため診断もむつかしく、難病を疑い専門医を紹介することになります。
一般的に小児の発熱をみたとき、まず第一に咳が強いかどうか、第二に頚部リンパ節腫脹があるかどうかを気をつけるのがポイントです。
咳が強く発熱が持続するときには、肺炎やマイコプラズマ感染症を疑います。
頚部リンパ節腫脹と高熱があれば、風疹、川崎病、EBウィルス感染症、壊死性リンパ節炎、血液疾患などを念頭に置きながら、注意深くみていく必要があります。