黄色ブドウ球菌によるとびひは全身どこにでもできますが、顔や鼻周辺、からだ、手足、おしりの順に多くみられます。
比較的大きな水疱がつぎつぎにでき、この水疱の膜は薄く、中の膿状の液体が下方にたまって半月のようにも見えます。
破れやすくびらん、痂皮(かさぶた)をつくります。高温、多湿の7~9月に多くみられます(写真1~9)。
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ブドウ球菌は健康な皮膚にはつきにくいのですが、あせも、湿疹、虫さされ、すり傷、アトピー性皮膚炎、単純ヘルペスなどの皮膚病があると、ブドウ球菌はつきやすく、とびひを起こしやすくなります。
最近は、連鎖球菌性ともブドウ球菌性ともどちらともつかないような例が増えてきました。両者の混合型とも言えるものです(写真10~17)。
耐性ブドウ球菌(MRSA)は院内感染を起こし、抵抗力の弱った高齢者、重病人、新生児、術後患者などで問題となる菌です。
しかし、しばらく前から健康な幼児や学童にもMRSA感染が起こることが小児科医から報告されてきました。
写真の例は、まったく健康に過ごしている小学校3年生の女児のMRSA感染例です。
冬の2月にとびひで来院されました。とびひは当初から手足を中心に、膿性の湿疹があちこちに散布していました。
抗生剤を組み合わせながら治療を行いましたが改善しないため、市民病院小児科と皮膚科を受診され、MRSAが検出されました。
薬剤耐性のため、3~4ヶ月たった時点でも改善はみられるものの、完治はしていません(写真18~20)。
SSSSは典型例では、顔、首、わきの下、股にびまん性の紅斑を生じ、口周囲のびらん、痂皮(かさぶた)、亀裂、目やに、眼瞼の充血などを示します。
ニコルスキー現象といって、健康な皮膚を摩擦すると表皮剥離、水疱を形成します。
写真は典型的なSSSSではありませんが、膝だけの創部をみるとSSSSを疑わせるような症例でした。しかし全身の症状は認められませんでした(写真21)。