溶連菌感染症の皮膚変化としては手指や前腕部の湿疹がもっとも有名です。
発熱や咽頭痛がなくて、手指や前腕部の湿疹に気がついて受診されることがしばしばあります。
手指の変化は手と指とに分けられます。
手の変化としては、皮膚がかさかさ・ごわごわしてきたり、手のひらのしわに沿って白く皮がむけてくることがあります。(これを落屑(らくせつ)といいます。)
手の甲ではしわがよったようにごわごわした感じになります(写真1~5)。
手の甲には落屑の変化は起こりません。
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手指の変化は溶連菌感染症でもっとも特徴のある変化を示します。
1)指先の皮がむけてつるつるになったように変化したり、赤く皮膚が変色してくることもあります(写真6~9)。
2)また多くの例では指の皮が白くむけてくる変化(落屑;らくせつ)が認められます(写真10~13)。
3)指の間に紅斑が認められることもあります(写真14)。
この例(写真15、16)はおとなの溶連菌感染症の手のひらの変化です。
初診の時は手のひらの発赤(紅斑)がみられましたが、3日後には特徴的な落屑が認められました。
前腕部の皮膚変化は小さな赤い斑点状の湿疹がみられるのが特徴です。
1)この湿疹は点状紅斑とも呼ばれますが、よくみるとざらざらした少し盛り上がった感じのする小さな湿疹のこともあります(写真17~20)。
2)腕にも顔と同様に一見するとにきびに似たような湿疹を生じることもあります(写真21)。
風疹やりんご病もよく似た点状紅斑を生じますが、皮膚のざらざら感はありません。
耳介項部のリンパ節のはれがあれば風疹と診断できます。
りんご病はときに溶連菌感染症と区別が困難です。
溶連菌感染症では、手指の皮膚の変化、とくに手指や手のひらの落屑(白く皮がむけてくること)や指先がつるつるになる変化を同時に認めることが多く、これらの変化から区別できます。
溶連菌の足の変化も特徴的で、診断にたいへん役立つ所見です。
1)足の甲に小さな赤い斑点(紅斑)がしばしば認められます。
この斑点は足の甲だけでなく、下腿部や大腿部にも広がる傾向があります(写真22~30)。
2)足指の変化として斑点ではなく、指の間に広がる紅斑もしばしば認められます(写真31、32)。写真32は咽頭ぬぐい液の溶連菌抗体検査で陽性になった例です。
3)顔や腕と同様に足にもにきびに似たような比較的大きな盛り上がった湿疹(丘疹)として現れることもあります(写真33)。