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誰でも分かる「心電図の簡単な読み方」

7.12誘導心電図の記録

心電図は心臓に流れる電流を記録したものですが、この電流を異なる12方向から記録した波形が12誘導心電図です。

12誘導心電図では、電流の変化を詳しく解析できること、部位診断が正確にできるなどのメリットがあります。
手足につけた電極から記録される心電図を四肢誘導、胸部につけた電極から記録される心電図を胸部誘導といいます。

12誘導を理解する上で電極を人間の目にたとえて考えると便利です。
電極を付けた方向から心臓を眺めると想像してください。
電流が電極の方に向かってくるときは上向きのR波が、電極から遠ざかるときは下向きのQ波やS波ができます。(図1)

12誘導心電図を理解する上で電極を人間の目にたとえて考えると便利です
図112誘導心電図を理解する上で電極を人間の目にたとえて考えると便利です

point point電流が向かってくるときは上向きの波、遠ざかるときは下向きの波!

四肢誘導 (図2、3、4)

左手首につけた電極は左肩に電極をつけるのと同じで、左上から心臓を見おろすことができます(Ⅰ、aVL)

同様に右手首につけた電極は右上から心臓を見おろします(aVR)

足首につけた電極は心臓を下から見上げています(Ⅱ、Ⅲ、aVF)

四肢誘導(I、II、III)
図2四肢誘導(I、II、III)
四肢誘導(aVR、zVL、aVF)
図3四肢誘導(aVR、zVL、aVF)
四肢誘導の部位診断
図4四肢誘導の部位診断
  • 左側から心臓を見る誘導は、Ⅰ、aVL ➡ 左室(高位)側壁
  • 下側から見る誘導は、Ⅱ、Ⅲ、aVF ➡ 左室下壁
  • 右側から見る誘導は、aVR ➡ 右房や右室の一部

胸部誘導(図5、6)

胸部誘導のしくみ
図5胸部誘導のしくみ
右からV1から順にV6まで心臓を水平方向に場所を変えながら心電図を記録します
図6右からV1から順にV6まで心臓を水平方向に場所を変えながら心電図を記録します

胸につけた6個の電極からは、心臓を水平に横から眺めることができます。
右からV1から順にV6まで心臓を水平方向に場所を変えながら心電図を記録します。

まとめ(図7)

心電図で分かる病変部位
図7心電図で分かる病変部位

12誘導心電図は病変部位を明らかにする目的があります。
心臓は左室の働きが重要で、左室側壁、左室下壁、心室中隔、左室前壁に分けて病変部位を診断します。

point pointⅠ、aVL ➡ 左室(高位)側壁、
Ⅱ、Ⅲ、aVF ➡ 左室下壁、
V1からV2 ➡ 心室中隔、
V3からV4 ➡ 左室前壁、
V5からV6 ➡ 左室側壁

心臓病と部位診断

左室肥大は心室中隔や左室側壁で記録しやすく、深いS波(V1、V2)と高いR波(V5、V6)が特徴です。

心筋虚血や心筋梗塞では、血管の病変に応じて左室側壁、左室下壁、心室中隔、左室前壁のいずれかに、ST-T変化が現れます。右室梗塞はまれですが、aVRに異常が現れます。

左室下壁→右冠動脈、心室中隔→左冠動脈前下行枝、左室前壁→左冠動脈本幹、左室側壁→左冠動脈回旋枝 の冠動脈病変が分かります。

>>次のページで、陳旧性心筋梗塞の心電図変化について解説します。

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