目のまわりに筋肉の異常でまばたきがしにくくなる「眼瞼痙攣」は中高年の女性に多く、全国の患者は約30万人と推定されています。
うつ状態に陥り、社会生活に支障を来す場合もあります。
「目をつぶっていた方が楽」と感じる状況が長く続いたら注意が必要です。
目のまわりにはまぶたを開ける筋肉と閉じる筋肉があり、両者が交互に働き無意識のうちにまばたきをしています。この働きをつかさどる神経に問題を生じると筋肉の連携がうまくいかなくなり、まばたきがぎこちなくなるのが眼瞼痙攣です。
まぶたがピクピクする病気と思われがちですが、それは片側顔面痙攣という別の病気です。眼瞼痙攣ではそのような症状はあまり起こりません。多いのは「目を開けているのがつらい」、「まぶしい」、「しょぼしょぼする」、「目が乾く」、などの症状で、外見上は「伏し目がち」、「眉間に縦じわがある」といった特徴があります。
進行すると目を開けていられなくなり、歩行中や自動車の運転中に危険が及ぶことがあるので注意が必要です。おかしいなと感じたら早めに眼科を受診して、適切な治療でしっかりと症状をコントロールすることが大切です。
原因はさまざまです。中高年に多い「本態性眼瞼痙攣」は、遺伝的な原因にドライアイなどの悪化因子が加わることで発生すると考えられています。
一方、抗うつ薬などの長期服用で起こる「薬剤性眼瞼痙攣」は若年の患者もいます。パーキンソン病などが原因で起こる「症候性眼瞼痙攣」もあります。
いずれも症状をコントロールしながらうまく付き合うことが必要で、「ボトックス治療」が効果的です。ボトックスを目の周囲に注射し、局所的に神経を麻痺させる治療で、一般的に効果が持続するのは3-4ヶ月程度です。
中には徐々に症状が治まり治療の頻度を減らせる人や全く必要としなくなる人もいます。ボトックス治療を行っている病院や診療所は限られているため事前に問い合わせが必要です。