パソコンや細かな仕事で目を酷使した後、目が疲れた後、睡眠不足が続いた後などに、目のまぶたがピクピクと痙攣。
一晩寝るとよくなることもありますが、何日も続くと不快感と他の病気がないかという不安感に悩まされるようになります。
このような目の周囲の筋肉の痙攣を起こす原因には、大きく三種類あります。
顔面ミオキミア、眼瞼痙攣、顔面痙攣です。
眼瞼ミオキミア、眼輪筋ミオキミア、眼輪波動症などと呼ばれることもあります。
目の周囲にはまぶたを明けたり閉じたりするための、筋肉がうず状に目の周囲を取り巻いています(眼輪筋と呼ばれます)。眼輪筋はまぶたの開閉に関係している筋肉です。
顔面ミオキミアは、眼輪筋の一部がピクピクと痙攣を起こす状態で、ふつうはまぶたの下に起こります。鏡で観察すると、まぶたの下の筋肉がピクピク動くのが分かります。勝手に不規則で短い時間、筋肉の細かい痙攣が起こります。
健康な人でもパソコンや細かな仕事、テレビゲームなどを長時間した後の眼精疲労や、睡眠不足が続くと、一時的に起こることがあります。
目を休めるようにしたり、目を閉じてまぶたの上から軽くマッサージすると軽くなります。睡眠は十分に取りましょう。目の疲れ(眼精疲労)を軽くする目薬も役に立ちます。
顔面ミオキミアは顔面神経が刺激されると起こりやすくなります。
したがって、一部の脳腫瘍や炎症、神経変性疾患、外傷後にも病的なミオキミアが起こることがあります。良くならないときや悪化するときには、脳外科の受診が必要です。
眼瞼痙攣は、眼輪筋の痙攣により、急に両方の目がギューと閉じてしまい、しばらく目を開けることができなくなります。顔面ミオキミアがまぶたの下にピクピクと短時間、痙攣が起こるのと異なっています。
眼瞼痙攣は、眼輪筋が意志とは無関係に急に収縮する病気で、まばたきの回数が多くなることから始まります。
初めは短い時間の収縮から始まるため、まばたきが多くなり、まぶしく感じるようになります。ドライアイを併発することもあります。したいにまばたきの回数が多くなり、明るいところでは異常にまぶしく感じたり、まぶたが閉じてしまうため、指でまぶたを持ち上げないと見にくくなります。進行するとまぶたが閉じてしまい、目が見えなくなることもあります。
症状の進行は緩やかなため、診断がつかなかったり、ドライアイですまされることもあります。まぶしい光の下やストレスがあると症状は悪化します。40~70歳代の中高年に多く、やや女性に多くみられます。
放置して自然に治る病気ではありませんが、有効な治療法があるため、眼科など専門医の診察が必要です。まぶたが垂れ下がるようになる眼瞼下垂とは区別しなければなりません(リンク:家庭の医学-おとな-眼瞼下垂)。
顔面神経の主な働きは、顔の筋肉を動かすことです(味覚にも関係しています)。
顔の左右の筋肉は、それぞれ別々の顔面神経に支配されているため、顔面痙攣はふつうは片側に起こります(片側顔面痙攣)。
片側の眼輪筋と、同じ側の顔面(額や頬、口、あご)に起こる痙攣発作が顔面痙攣です。片方の目のまわりの軽いピクピクした痙攣に始まり、しだいに同じ側の顔面に広がっていきます。顔がキューとつっぱったりゆがんだ表情になることがあります。
顔面神経が脳幹部から出たところで、血管に圧迫されて起こると考えられています。
治療可能な病気のため、脳外科などの専門医の診断が必要です。
顔面痙攣は顔面神経痛と呼ばれることがありますが、この呼び名は正しくありません。
痛みなどの顔面の知覚のほとんどは、顔面神経とは異なる神経で支配されています。顔面神経が刺激されて筋肉の痙攣が起こると、痛みの神経も同時に刺激されて痛みを感じます。