- 家庭の医学 -
よく見られる大人の病気

過活動膀胱(OAB)

少し尿がたまっただけで、がまんできないほど強い尿意をもよおす「過活動膀胱(OAB)」が増えています。

現在、40歳以上の約12%にあたる810万人の人がこの病気で悩んでいると言われています。
過活動膀胱(OAB)は年齢により違いは多少ありますが、全体では男女比はほぼ1:1でほぼ同じ割合でみられます。

過活動膀胱(OAB)とは

過活動膀胱
図1過活動膀胱

OABでは買い物の途中や車の運転中、作業中などに少し尿がたまっただけで急に強い尿意(尿意切迫感)を感じます。(図1)
ふつうは尿の回数が増える頻尿や夜間頻尿を伴いますが、約半数では尿が間に合わなくてもれてしまう尿もれ(切迫性尿失禁)を伴うことがあります。

OABの条件としては排尿回数が一日8回以上でかつ強い尿意切迫感を週1回以上生じるとされています。男性では前立腺肥大症の5割以上の人がOABを合併していると考えられています。

OABの原因としては、男性では前立腺肥大症など下部尿路閉塞や女性では骨盤筋肉が弱くなってきたため(経産婦に多くみられます)や加齢とともに起こる場合のほか、脳血管障害、パーキンソン病、認知症や脊髄の病気とともに起こる場合もあります。また原因がよく分からないで起こる場合もあります。

OABの治療としては大きく分けて行動療法(生活指導、膀胱訓練、理学療法、排泄介助など)と薬物療法(膀胱の弛緩作用のある抗コリン剤)に分かれます。最近OABに使用される薬剤の種類も増えつつあります。悩んでいる人の数に比べて、悩みを理解し真剣に受け止めることのできる医師が少ないのも、OABがまだまだ周知されていないためと思われます。

神経因性膀胱とは

神経因性膀胱は排尿を支配する神経系の異常によって起こる尿路機能障害を指します。
排尿は脳や脊髄などの中枢神経と脊髄から膀胱に至る末梢神経系の2種類の神経系によって支配されています。

脳血管障害やパーキンソン病などによって引き起こされる中枢神経障害では、排尿筋過活動により頻尿や切迫性尿失禁などの畜尿症状を起こしやすくなります。一方、末梢神経障害では低活動膀胱状態のために尿の勢いが弱くなる、尿が出にくくなるなどの排尿症状を起こしやすくなります。

したがって神経因性膀胱では膀胱症状の原因となっている疾患の治療が最も重要になります。畜尿障害と排尿障害では神経支配が異なるため治療方法も異なります。
たとえば(1)畜尿障害では膀胱の収縮作用のある、抗コリン剤・平滑筋弛緩薬・三環系抗うつ薬などが使用され、(2)排尿障害では膀胱の弛緩作用のある、コリン作動薬・α1遮断薬などが使用されます。
これらの薬剤は相反する作用を持つため、正しい薬剤を選択しないと症状の悪化につながる可能性もあり注意が必要です。

低活動性膀胱とは

過活動膀胱(OAB)が少し尿がたまっただけで強い尿意を感じる膀胱の畜尿障害であるのに対して、低活動性膀胱は膀胱に尿がたまっても出し切ることができない排尿困難が主な症状です。

原因としては、糖尿病などによる末梢神経障害や骨盤内手術による神経損傷などが挙げられ、症状としては排尿困難(尿勢低下、腹圧排尿、尿線途絶、尿閉など)がみられます。

低活動性膀胱の治療では原因疾患の治療が最も重要です。
排尿障害に対しては薬物療法(膀胱の収縮作用のあるコリン作動薬・α1遮断薬など)が使用されますが、効果が不十分な場合は、間欠自己導尿の適応になります。

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よく見られる大人の病気

1. 診察室でよく見られる症状 肩こり 肝機能障害 更年期障害 口の中の病変 せき めまい 頭痛 動悸 耳鳴り 腹痛 味覚障害と舌の痛み ニオイの異常(嗅覚障害) 胸の痛み(胸痛) 睡眠の障害(不眠症) 胸やけ、げっぷ 胃痛・胃もたれ 腹部膨満感、腹鳴 下痢 便秘 口臭 喉のつかえ(喉の異常感) ふわふわめまい・頭重感 ジャーキング 神経調節性失神 長引く声がれ-声帯まひ 眼瞼痙攣 しゃっくり 疲れがとれない・疲労感 口の渇き(ドライマウス) 手足のしびれ 失神 むくみ(浮腫) 物忘れ 手のふるえ 立ちくらみ おなら 声のかれ 冬のかゆみ あごの痛み-顎関節症 冷え症 こむら返り 頻尿 いびき 鼻出血(鼻血) 鼻づまり 汗の異常 微熱 尿もれ(尿失禁) 金縛り・悪夢 目のまわりや顔の痙攣 大人の歯ぎしり 歩くと足の裏に激痛:モートン病 首の後ろ(後頸部)の痛み 中高年に多い弛緩性便秘 中高年者に多いめまい 中高年者の腰痛のときに考える4つのM 2. 皮膚の病気 毛虫かぶれ 大人の蕁麻疹 帯状疱疹 たこ、うおのめ 薬剤性光線過敏症 いろいろある蕁麻疹 りんご病(大人) 足の静脈瘤 みずむし 破傷風 シイタケ皮膚炎 高齢者の帯状疱疹 3. 診察室でよく見られる病気 慢性疲労症候群 偽痛風 リウマチ性多発筋痛症 線維筋痛症 むずむず脚症候群 前立腺肥大症 過活動膀胱(OAB) 間質性膀胱炎 うつ病 単純ヘルペス感染症(大人) 眼瞼下垂 おとなの百日咳 中年に多い椎骨動脈解離 腸内フローラとは 脳脊髄液減少症 高齢者の急な寝ちがえ:頸椎偽痛風を疑う! 咳が続く…大人にも多い百日咳 痛風 急性扁桃炎 膀胱炎と腎盂炎 EBウィルス感染症 食中毒 機能性胃腸症 慢性膀胱炎 過敏性腸症候群 口内炎 高血圧 微小血管狭心症 痙攣性発声障害 肋間神経痛 偽痛風と痛風、化膿性関節炎に注意 緑内障 女性と痛風 子どもの病気はこちら

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