- 家庭の医学 -
よく見られる大人の病気

慢性疲労症候群

これまで健康に生活していた人が、風邪などがきっかけである日突然、原因不明の激しい全身けん怠感に襲われて、それ以降、微熱、頭痛、抑うつなど精神神経症状が長期にわたって続くため、健全な社会生活が送れなくなる病気、それが慢性疲労症候群です。(図1)

慢性疲労症候群とは
図1慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群とは、

  1. 原因不明の強い全身倦怠感,
  2. 微熱,リンパ節腫脹,頭痛,脱力感や,
  3. 思考力の障害,抑うつ等の精神神経症状などが起こり,
  4. この状態が長期にわたって続くため,

満足な社会生活が送れなくなるという病態です。

慢性疲労症候群は,1988年に米国の研究機関によって提唱された比較的新しい疾患です。
1980年代の初めに米国で、疲労感,微熱,リンパ節腫大などの症状が長引く症例が数施設から報告されたのが始まりです。

集団発生も見られたことからウィルス感染症も疑われ、一時は「第2のエイズか?」などとマスメディアに騒がれたこともありました。慢性疲労症候群はウイルス感染や社会心理的なストレスがきっかけとなって引き起こされていると思われますが、正確な原因ははっきりしていません。

ウイルス感染症説,内分泌異常説,免疫異常説,代謝異常説,自律神経失調説に対して,「このような異常の多くは独立して存在しているのではなく,お互いに密接に関連して神経系・内分泌系・免疫系の異常につながっている可能性が考えられる」として,慢性疲労症候群という疾患概念の独立性について疑いを持つ研究者が現在でも存在します。

慢性疲労症候群をうつ病の一型と捉えたり,線維筋痛症と同じものと考える人もいます。また「自律神経失調症」と診断されている一部の人は本症である可能性が高いと考えられます。

厚生省(現厚生労働省)の疲労研究班が行った調査によると、1000人に3人がこの病気に罹患(りかん)していることが分かりました。さらに最近では、不登校の子供の中に、慢性疲労症候群とみられる症状の子供がいることも分かっています。

慢性疲労症候群の診断と治療

慢性疲労症候群の診断は、通常の診察や検査では明らかな原因の見出せない著しい疲労感(少なくとも月に数日は疲労のため仕事を休まざるを得ない程度以上の疲労感)が、6か月以上持続し、次のような症状の多くがみられます。

  1. 徴熱(腋窩温37.2~38.3℃)ないし悪寒
  2. 咽頭痛
  3. 頚部あるいは腋窩リンパ節の腫張
  4. 原因不明の筋力低下
  5. 筋肉痛ないし不快感
  6. 軽い労作後に24時間以上続く全身倦怠感
  7. 頭痛
  8. 腫脹や発赤を伴わない移動性関節痛
  9. 精神神経症状(いずれか1つ以上)
    光過敏、一過性暗点、物忘れ、易刺激性、混乱、思考力低下、集中力低下
  10. 睡眠障害(過眠、不眠)
  11. 発症時、主たる症状が数時間から数日の間に出現

慢性疲労症候群では一般的な臨床検査では異常がみられませんが、免疫異常や種々のホルモンバランス異常、脳における神経伝達物質の代謝異常などがみつかっています。

残念ながら特効薬と呼べるような治療法はまだありませんが、漢方薬(補中益気湯など)やビタミン剤(ビタミンB12、ビタミンC)、うつ病の薬であるSSRI、四環系抗うつ薬、抗不安薬など、いくつかの効果が期待できるものがあります。これらの薬を組み合わせて使うことがあります。

通勤や通学など日常生活が可能になる程度までの回復を含めると、多くの人が2-3年でよくなっています。ただ、完治していなければ、ストレスや感染症をきっかけにしばしば再発を繰り返します。

完治したかどうかの判断は、倦怠感とともに微熱や筋肉痛などの症状が消え、たとえ運動や長時間の外出で疲労・倦怠感を感じたときでも、一日寝て回復するようなら完治したと考えていいでしょう。一度完治すれば再発はほとんどありません。2年で15%、4年で40%が完治しています。

よく見られる大人の病気:目次へ

よく見られる大人の病気

1. 診察室でよく見られる症状 肩こり 肝機能障害 更年期障害 口の中の病変 せき めまい 頭痛 動悸 耳鳴り 腹痛 味覚障害と舌の痛み ニオイの異常(嗅覚障害) 胸の痛み(胸痛) 睡眠の障害(不眠症) 胸やけ、げっぷ 胃痛・胃もたれ 腹部膨満感、腹鳴 下痢 便秘 口臭 喉のつかえ(喉の異常感) ふわふわめまい・頭重感 ジャーキング 神経調節性失神 長引く声がれ-声帯まひ 眼瞼痙攣 しゃっくり 疲れがとれない・疲労感 口の渇き(ドライマウス) 手足のしびれ 失神 むくみ(浮腫) 物忘れ 手のふるえ 立ちくらみ おなら 声のかれ 冬のかゆみ あごの痛み-顎関節症 冷え症 こむら返り 頻尿 いびき 鼻出血(鼻血) 鼻づまり 汗の異常 微熱 尿もれ(尿失禁) 金縛り・悪夢 目のまわりや顔の痙攣 大人の歯ぎしり 歩くと足の裏に激痛:モートン病 首の後ろ(後頸部)の痛み 中高年に多い弛緩性便秘 中高年者に多いめまい 中高年者の腰痛のときに考える4つのM 2. 皮膚の病気 毛虫かぶれ 大人の蕁麻疹 帯状疱疹 たこ、うおのめ 薬剤性光線過敏症 いろいろある蕁麻疹 りんご病(大人) 足の静脈瘤 みずむし 破傷風 シイタケ皮膚炎 高齢者の帯状疱疹 3. 診察室でよく見られる病気 慢性疲労症候群 偽痛風 リウマチ性多発筋痛症 線維筋痛症 むずむず脚症候群 前立腺肥大症 過活動膀胱(OAB) 間質性膀胱炎 うつ病 単純ヘルペス感染症(大人) 眼瞼下垂 おとなの百日咳 中年に多い椎骨動脈解離 腸内フローラとは 脳脊髄液減少症 高齢者の急な寝ちがえ:頸椎偽痛風を疑う! 咳が続く…大人にも多い百日咳 痛風 急性扁桃炎 膀胱炎と腎盂炎 EBウィルス感染症 食中毒 機能性胃腸症 慢性膀胱炎 過敏性腸症候群 口内炎 高血圧 微小血管狭心症 痙攣性発声障害 肋間神経痛 偽痛風と痛風、化膿性関節炎に注意 緑内障 女性と痛風 子どもの病気はこちら
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