- 家庭の医学 -
よく見られる大人の病気

痛風

急に足首や足の親指の付け根付近の激しい痛みを生じ、関節が赤く腫れてきたときには痛風の発作が疑われます(写真1)

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痛風-写真01
写真1痛風の腫れ

しかし同じような関節炎は他の原因でも起こることがあるため、痛風と診断するには専門の医師による診察と検査が不可欠です。

痛風の発作は中年になって起こることが多く、男性に圧倒的に多く起こります。痛風の起こりやすい体質があり、中年男性の中でも太って、活動的な人、ストレスの多い人は要注意です(図1)

尿酸値が高くなりやすい人
図1尿酸値が高くなりやすい人

痛風の発作は血液の中の尿酸値が高くなると起こりやすくなります。正常の血中濃度は6.5以下ですが、8.5以上が続くと痛風発作はいつ起こっても不思議ではありません(図2)

血中の尿酸値が6.5以上は危険信号
図2血中の尿酸値が6.5以上は危険信号

尿酸値が高いだけでは自覚症状はありませんが、6.5以上では血液の中に溶けきれなくなり、とくに体温の低くなる手足、耳たぶなどに少しずつ結晶として沈着していきます。この結晶が大きくなると外からもしこりとして分かるようになり、痛風結節と呼ばれますが、そこまで放置されている人は最近では珍しいでしょう。

尿酸の沈着は腎臓でも起こり、腎臓結石や腎機能障害、ひどくなると腎不全を起こすことがあります。また、動脈硬化の原因の一つでもあり、自覚症状はなくても高尿酸血症の治療は大切です。

血中の尿酸値は体質だけでなく、食べ物に含まれるプリン体によっても大きく左右されます。プリン体は体の中では核酸という細胞の重要な物質の原料となりますが、過剰な摂取はいわばゴミといえる尿酸の増加をもたらします。プリン体は飲酒と関係が深く、とくにビールには多く含まれるために注意が必要です。尿酸値が高いと言われたらビールなどの飲酒が多くないか気をつけてください(図3)

アルコールの飲みすぎに注意
図3アルコールの飲みすぎに注意

痛風は肉類の食べ過ぎで起こると思われがちですが、プリン体はレバーやエビ、さらには魚の干物、イワシ、イカ、イワシ、タコなどの海産物にも多く含まれるので注意が必要です(図4)

プリン体のとりすぎに注意
図4プリン体のとりすぎに注意

尿酸値が高いと言われたら、このように食事や体重、運動など生活習慣全般において改善が必要です(図5、表1)

痛風予防-生活のポイント
図5痛風予防-生活のポイント
痛風予防の食生活 6つのポイント
1.脂肪をとりすぎない 特に動物性脂肪は、尿酸の排泄を抑制します。肥満防止のためにもなります。
2.アルコールは控えめに 尿酸の排泄を抑制したり、過剰につくったりします。
(一方、利尿効果もあります。)
3.酒の肴に注意する 酒の肴にはプリン体が含まれているものが多いので要注意。
4.水分は十分にとる 尿酸の排泄を促進します。1日2Lの尿量が目安。
5.生ジュースや果物をとりすぎない 果糖は尿酸の合成を促進します。
6.プリン体を含む食品はとりすぎない 上の図4を参考にしてください。
表1痛風予防の食生活 6つのポイント

尿酸が手足などに結晶として沈着してくると、ある日、急に関節炎を起こして激しい痛みを生じてきます。この痛みは、尿酸結晶を異物として多核白血球が処理しようとして貧食する際に、痛みを誘発する物質を放出する結果起こってきます。
痛みを軽くするために消炎鎮痛薬が使用されますが、必ずしも痛みが軽くならないことがあります。発作は1~2週間近く続くことがあり、その間仕事もままならず困ることがあります。そのような時には短期間ステロイドを内服すると痛みは軽くなります。

発作の時期には尿酸値は必ずしも高くないことがありますが、発作の準備は日常生活の中から始まっていることを考えてみれば、お分かりいただけると思います。

尿酸値を下げる薬は発作時には使用せずに、発作が治まってから内服を始めます。なお、高尿酸血症の薬物治療は尿酸値の上がる原因によって異なります。また、尿中に尿酸の排出を助ける薬を内服する場合には、結石予防のために尿をアルカリ性にしておく必要があります。

このように治療は専門の医師による診察と検査が必要となります。

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よく見られる大人の病気

1. 診察室でよく見られる症状 肩こり 肝機能障害 更年期障害 口の中の病変 せき めまい 頭痛 動悸 耳鳴り 腹痛 味覚障害と舌の痛み ニオイの異常(嗅覚障害) 胸の痛み(胸痛) 睡眠の障害(不眠症) 胸やけ、げっぷ 胃痛・胃もたれ 腹部膨満感、腹鳴 下痢 便秘 口臭 喉のつかえ(喉の異常感) ふわふわめまい・頭重感 ジャーキング 神経調節性失神 長引く声がれ-声帯まひ 眼瞼痙攣 しゃっくり 疲れがとれない・疲労感 口の渇き(ドライマウス) 手足のしびれ 失神 むくみ(浮腫) 物忘れ 手のふるえ 立ちくらみ おなら 声のかれ 冬のかゆみ あごの痛み-顎関節症 冷え症 こむら返り 頻尿 いびき 鼻出血(鼻血) 鼻づまり 汗の異常 微熱 尿もれ(尿失禁) 金縛り・悪夢 目のまわりや顔の痙攣 大人の歯ぎしり 歩くと足の裏に激痛:モートン病 首の後ろ(後頸部)の痛み 中高年に多い弛緩性便秘 中高年者に多いめまい 中高年者の腰痛のときに考える4つのM 2. 皮膚の病気 毛虫かぶれ 大人の蕁麻疹 帯状疱疹 たこ、うおのめ 薬剤性光線過敏症 いろいろある蕁麻疹 りんご病(大人) 足の静脈瘤 みずむし 破傷風 シイタケ皮膚炎 高齢者の帯状疱疹 3. 診察室でよく見られる病気 慢性疲労症候群 偽痛風 リウマチ性多発筋痛症 線維筋痛症 むずむず脚症候群 前立腺肥大症 過活動膀胱(OAB) 間質性膀胱炎 うつ病 単純ヘルペス感染症(大人) 眼瞼下垂 おとなの百日咳 中年に多い椎骨動脈解離 腸内フローラとは 脳脊髄液減少症 高齢者の急な寝ちがえ:頸椎偽痛風を疑う! 咳が続く…大人にも多い百日咳 痛風 急性扁桃炎 膀胱炎と腎盂炎 EBウィルス感染症 食中毒 機能性胃腸症 慢性膀胱炎 過敏性腸症候群 口内炎 高血圧 微小血管狭心症 痙攣性発声障害 肋間神経痛 偽痛風と痛風、化膿性関節炎に注意 緑内障 女性と痛風 子どもの病気はこちら

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