冷え症の女性にとって秋・冬の到来は気になるものです。
つい体質だからとあきらめてしまいがちですが、秋・冬のつらい時期を快適に過ごすためにも、冷え症のメカニズムを知り、その原因を取り除く努力をしてみましょう。
人間の体は、暑さ寒さを敏感に感じ調整する機能を持っています。
暑い時は血管を広げて放熱し、寒い時は縮めて放熱を防いでいます。
この外気の変化に応じた手足の血管の拡張・収縮運動を支配しているのが自律神経です(図1)。
自律神経の失調が起こると、体温調節機能が低下し、冷え症などの症状が現れてきます。
女性の場合、毎月の月経により、ホルモンバランスが複雑に変化しています。
ホルモンの働きがよくないと、自律神経も影響を受け、体のバランス機能を失いやすくなります。
男性に比べて女性に冷え性が多いのはこのためです。
精神的なストレスも自律神経失調症に結びつきやすい原因の一つとされています。
脳の視床下部には、自律神経の中枢とともに、情動(喜怒哀楽)や本能(食欲、睡眠など)の中枢もあって、相互に影響しあっています。
心の動揺、悩み事など、精神的なストレスがあると自律神経失調症に結びつきやすいのです。
最近は夜型の生活パターンを過ごす人が多く、早寝早起きをするなど自然な生活スタイルが崩れてきています。これなども自律神経の乱れを起こす環境の一つといえます。
現代生活では、生活環境などの変化により運動不足になりがちです。
適度な運動は血液の循環をよくして、体を内側から温めることができます。
全身運動が理想的ですが、ラジオ体操、ジョギング、ウオーキング、水泳など、自分に合って長続きできるものがよいでしょう。
自律神経の働きは、昼間起きている時は交感神経(興奮神経)が、夜眠っている時には副交感神経が働くというように、一定のリズムを持っています。
夜ふかしや朝寝坊を続けるとこの交代がうまくいかず、自律神経が乱れてくるのです。
早寝早起きを心がけて、自律神経をスムーズに働かせるようにすることが必要です。
三食きちんと食べてエネルギーを補給することが大切です。
朝食もきちんと食べる習慣が大切ですが、気をつけたいのは栄養バランスです。
とくにビタミンEを多く含んでいる胚芽米やナッツ類、卵、緑黄野菜を積極的に食べることが重要です。一日三食、規則正しく、バランス良くが基本です。
お風呂は冷えを改善する効果が最も高いものの一つです。
入浴剤を入れると保温力が長持ちして、湯冷めしにくくなるといわれています。
果物や薬草など昔からさまざまな入浴剤が使われていますが、最近では市販の入浴剤も種類が豊富で、冷え症用のものも発売されています。
イチョウエキスを入れたものなども登場して注目を集めているようです。
少し熱めの湯を入れた深めの容器に、ふくらはぎから下をつけ、差し湯をしながら約20分間温めます。
最後に乾いたタオルでマッサージすると全身が温まります。
東洋医学では、体を温める陽性の食品と、冷やす陰性の食品に分類しています。
大根やごぼうなど成長が遅いもの、いわしやさんまなどすばやく泳ぐ小さな魚など、冬が旬の物が陽性です。
大きくてやわらかいスイカやメロンなど、夏が旬の物は陰性に属します。
これら旬の食物をバランス良く取ることが大切です。
寒い季節は暖かい鍋料理で体を温めるなどの工夫をするとよいでしょう。
旬の野菜や魚介類をたくさん入れれば、栄養バランスもとれ、冷え症から体も守れます。
おでん、煮物、ビーフシチューなども同様の効果があります。