水虫は白癬(はくせん)菌というカビが皮膚に付着し、侵入すると起こる感染症です。
日本では足の水虫にかかっている人が、約2,100万人(約5人に1人)、爪水虫にかかっている人が約1,200万人(約10人に1人)いるといわれています。
水虫の患者さんの3人に1人が同居している家族にも水虫の人がいることが分かっています。家庭内で知らず知らずのうちに水虫をうつしてしまっているようです。
水虫は足以外にもみられます。水虫の原因となる白癬菌は足や爪に多く感染しますが、そのほか手、頭、体、股にも感染することがあります。これらの病名や症状はそれぞれ異なっています。
爪水虫は、皮膚の角質層に感染した白癬菌が爪に侵入して起こることがほとんどで、その感染経路としては爪の先、脇、根もとからがあります。爪が白く濁ってきたり、厚みが増してきたり、ぼろぼろとくずれてきたりしたら、爪水虫の可能性があります。
たいていは足の水虫に続いて発症するので、足水虫を放置していると爪水虫になりやすいといえます。
水虫には、趾間型、小水疱型、角化型、爪水虫(爪白癬)の4つのタイプがあります。(図1)
最もよくみられる足の指の間にできる型です。指と指の間が白くふやけて皮がむけます。ひどくなるとむずがゆくなります。
5月初旬から梅雨にかけて増えます。土踏まずや足の縁に軽い赤みを伴う小さな水疱が多発します。水疱は一週間程度で乾燥し、ぼろぼろと皮がむけてきすが、他の場所にまた新しい水疱ができて、少しずつ広がっていきます。
まれにみられる型ですが、足の裏、特にかかとの部分の角質が厚くなり、表面がザラザラになって皮がむけてきます。冬にあかぎれやひびわれを作ることもあります。かゆみなどの自覚症状はほとんどありません。
爪の中に白癬菌が入って、爪が白く濁ったり、暑くなったり、もろくぽろぽろとかけたりします。見た目の悪さだけでなく、水虫をくり返す原因になります。
水虫の原因となる白癬菌は高温・多湿を好みます。むずむしを持っている人の白癬菌がはがれ落ち、他の人の皮膚に付着して皮膚の中に侵入すると、他の人にうつることになります。
多数の人が使用するスリッパなどの履き物や大衆浴場、サウナなどのマットに足が触れた後はとくに気をつけましょう。白癬菌が付着しただけですぐに水虫に感染するわけではありません。靴や靴下で長時間むれると皮膚に定着するようになります。毎日足をよく洗い、乾燥を心がけることで水虫がうつるのをかなり予防できます。
塗り薬を使って治ったと思って薬を止めると、再び出てくるのが水虫です。その原因として考えられるのは、目で見て治ったと思われても白癬菌は水虫の周囲の広い範囲にしぶとく残っているからです。白癬菌の住む皮膚の角質層は約一ヶ月ではがれ落ち、新しい角質となります。そのため症状がよくなっても最低一ヶ月は塗り薬を続ける必要があります。
また、皮膚だけでなく爪にも白癬菌は潜んでいます。爪の白癬菌は塗り薬では治療が困難です。足を治しても爪からの白癬菌が供給されるという「水虫サイクル」は永遠に続きます。
塗り薬は薬の成分が爪の中にまでは浸透しにくいことから、塗り薬だけでは爪水虫を治すことは困難です。飲み薬は成分が爪の中にゆきわたり、長くとどまるために、爪水虫の治療に有効です。
水虫の人が落とした白癬菌がつかないように、こまめに掃除をして、サンダル、スリッパなどの履き物は共有しないようにしましょう。
足は、毎日石けんを使って汚れを落とし、指の間もよく洗うようにしましょう。
せっかくきれいに足を洗っても、指の間などに水分が残っていては水虫の温床になります。きちんと拭き取りよく乾燥させましょう。
靴下やストッキング、靴は通気性の良い清潔なものを着用しましょう。長時間靴を履き続ける人は、ときどき脱いで風を通しましょう。靴下の材質は通気性・吸湿性の点で合成繊維よりも木綿の方が優れています。