- 家庭の医学 -
よく見られる大人の病気

においの異常(嗅覚障害)

感冒の後、ニオイが感じにくくなった と訴えられることがあります。

とくにこのような訴えは中年の女性に多い印象があります。このような嗅覚障害の原因はまだ詳しくは分かっていませんが、ここでは軽いものを含めると想像以上に多い嗅覚障害について考えてみましょう。(図1)

主な嗅覚障害の原因
図1主な嗅覚障害の原因

副鼻腔炎による嗅覚障害

嗅覚障害で最も多いのは副鼻腔炎によるものといわれています。
感冒などの際に鼻の炎症が長引くと、副鼻腔と呼ばれる骨の空間に細菌感染を起こして炎症を起こした結果、膿が貯留してきます。この状態を副鼻腔炎と呼びます。
最近の研究によると慢性副鼻腔炎では、長引く炎症性変化の結果、鼻の粘膜の変性だけでなく脳の一部(嗅覚に関係した脳)の変化が起こって、嗅覚障害が起こってくる可能性が示されました。

さらに慢性副鼻腔炎では鼻茸などによる鼻の粘膜の炎症性変化と膿(うみ)の増加が起こります。
また慢性副鼻腔炎を起こしやすい鼻中隔わん曲症など、鼻の空間(鼻腔といいます)の形態異常がしばしば合併しています。
この結果、鼻閉(鼻づまり)や鼻腔内の空気の流れの障害が起こり、ニオイを感じるための呼吸性障害が嗅覚障害を起こしやすくしています。
このように慢性副鼻腔炎の嗅覚障害は鼻粘膜の変化と鼻腔内の気流障害の組み合わさったものと考えられています。

感冒後の嗅覚障害

上気道炎のあとに起こる嗅覚障害は軽いものを含めるとしばしば経験されます。
多くは一時的で、2,3日で軽快するのがふつうです。鼻閉(鼻づまり)や鼻粘膜の炎症による一時的な嗅覚の障害と考えられます。
しかし感冒の後に発生し、長い間治らない嗅覚障害もあります。
特に中年女性に多く、鼻粘膜がウィルスにより障害を受けた後に回復しにくいためと推測されています。なぜ鼻粘膜の回復が困難になっているか明らかではありません。

さらに原因の一つとして血清中の亜鉛濃度の低下が考えられています。
体の微量金属である亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こすことはすでに解説しました(味覚障害と舌の痛み をご覧ください)。
急性、慢性を問わず血清亜鉛低下により食欲低下、味覚障害、嗅覚障害などの風味障害が生じることは以前から指摘されています。
なぜ亜鉛低下がこのような症状を起こすか明らかではありませんが、亜鉛低下により脳の神経繊維の働きが低下するためではないかと推測されています。

今まではニオイが分かりにくい、ニオイを感じなくなったという嗅覚障害について述べてきました。
嗅覚障害には「本当のにおいとは違うニオイがする」「何をにおっても同じニオイがする」といったものがあります。
これらは異嗅症といわれます。
特徴は異嗅症は感冒後や事故などによる外傷後、時間がたってから出現してくることです。(図2)

感冒後の嗅覚障害⇒異嗅症
図2感冒後の嗅覚障害⇒異嗅症

異嗅症

感冒の後、炎症によって鼻粘膜が障害を受けるとニオイが分かりにくくなるだけでなく、本来のニオイとは違ったニオイがすることがあります。
このようなニオイの感覚は鼻粘膜が障害されてから時間がたった修復過程で起こりやすく、徐々に改善することが多いようです。
一方、何をかいでも同じニオイにしか感じないときには、高度の鼻粘膜の障害後や神経繊維の問題であることが多いようです。
これら異嗅症といわれるものは感冒後や外傷後による急性期の嗅覚異常に引き続いて起こりやすく、粘膜や神経の回復時に起こりやすいものといえます。   

何も臭うものがないのに臭いの感覚が起こる場合

このような感覚は神経繊維や脳の障害で起こると考えられます。
頭部外傷後に起こることが多く、「常にいやなニオイがする」などと訴えられます。
また脳の機能障害では「過去に経験したことのあるニオイが鼻につく」と訴えられることがあります。頭部外傷だけでなく、精神障害、ある種のてんかん発作でも同じような感覚が起こることがあります。
またアルツハイマー病やパーキンソン氏病などの脳疾患でも嗅覚障害が起こりうることが指摘されています。

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よく見られる大人の病気

1. 診察室でよく見られる症状 肩こり 肝機能障害 更年期障害 口の中の病変 せき めまい 頭痛 動悸 耳鳴り 腹痛 味覚障害と舌の痛み ニオイの異常(嗅覚障害) 胸の痛み(胸痛) 睡眠の障害(不眠症) 胸やけ、げっぷ 胃痛・胃もたれ 腹部膨満感、腹鳴 下痢 便秘 口臭 喉のつかえ(喉の異常感) ふわふわめまい・頭重感 ジャーキング 神経調節性失神 長引く声がれ-声帯まひ 眼瞼痙攣 しゃっくり 疲れがとれない・疲労感 口の渇き(ドライマウス) 手足のしびれ 失神 むくみ(浮腫) 物忘れ 手のふるえ 立ちくらみ おなら 声のかれ 冬のかゆみ あごの痛み-顎関節症 冷え症 こむら返り 頻尿 いびき 鼻出血(鼻血) 鼻づまり 汗の異常 微熱 尿もれ(尿失禁) 金縛り・悪夢 目のまわりや顔の痙攣 大人の歯ぎしり 歩くと足の裏に激痛:モートン病 首の後ろ(後頸部)の痛み 中高年に多い弛緩性便秘 中高年者に多いめまい 中高年者の腰痛のときに考える4つのM 2. 皮膚の病気 毛虫かぶれ 大人の蕁麻疹 帯状疱疹 たこ、うおのめ 薬剤性光線過敏症 いろいろある蕁麻疹 りんご病(大人) 足の静脈瘤 みずむし 破傷風 シイタケ皮膚炎 高齢者の帯状疱疹 3. 診察室でよく見られる病気 慢性疲労症候群 偽痛風 リウマチ性多発筋痛症 線維筋痛症 むずむず脚症候群 前立腺肥大症 過活動膀胱(OAB) 間質性膀胱炎 うつ病 単純ヘルペス感染症(大人) 眼瞼下垂 おとなの百日咳 中年に多い椎骨動脈解離 腸内フローラとは 脳脊髄液減少症 高齢者の急な寝ちがえ:頸椎偽痛風を疑う! 咳が続く…大人にも多い百日咳 痛風 急性扁桃炎 膀胱炎と腎盂炎 EBウィルス感染症 食中毒 機能性胃腸症 慢性膀胱炎 過敏性腸症候群 口内炎 高血圧 微小血管狭心症 痙攣性発声障害 肋間神経痛 偽痛風と痛風、化膿性関節炎に注意 緑内障 女性と痛風 子どもの病気はこちら
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