急性扁桃炎はかぜをきっかけとして起こり、ふつうは悪寒と高熱を伴います。
のどをみると扁桃腺が赤く腫れているだけでなく、扁桃腺の表面に白い膿が付着していることがあります(写真1,2)。
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このような白い膿は細菌感染が原因で起こるため、扁桃腺は抗生物質による治療が有効です。
急性扁桃炎は小児や青年に多く、高齢者では扁桃腺が萎縮するためにほとんどありません。扁桃炎は高熱が出てもふつうは3,4日で解熱します。
しかし子どもの間で夏季に流行するプール熱では、扁桃炎とともに結膜炎を伴い5,6日高熱が続くことがあります。
おとなの扁桃炎、特に20~30歳代の扁桃炎では、扁桃の周囲に炎症が広がっていくことがあり、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍と呼ばれます(写真3,4,5)。
この場合、のどがふさがるように腫れていくため、のどの奥のはれぼったい違和感や食べ物がのどを通りにくく感じます。
ひどくなると呼吸困難や窒息を起こすことがあり注意が必要です。抗生物質による治療が不可欠ですが、のどの閉塞感が強いときにはタイミングを逃すことなく、早いうちに耳鼻咽喉科を受診することが大切です。
10歳代後半や20歳代の扁桃炎では原因が良くわからないままに7日から10日近く高熱が続くことがあります。始めはかぜによる扁桃炎として治療していても、いっこうに解熱しないときに疑います。
このような扁桃炎ではかぜによる扁桃炎に比べて、首のリンパ節のはれが著しい印象がありますが、予測できないことも多いようです。
このような扁桃炎の中で、血液検査で肝臓機能障害やリンパ球の異常を伴う場合には、EBウィルス感染症(伝染性単核症)と診断されます。このような扁桃炎は時間がかかりますが、自然に治ります。