- 家庭の医学 -
よく見られる大人の病気

むくみ(浮腫)

足のむくみ(浮腫)に悩まされている女性は意外と多いことでしょう。
女性ばかりでなく、外歩きの多い営業職の男性にもむくみは起こりやすくなります。

長い時間立ち続けていると足がむくんでくるのは、重力に逆らって足の血液を心臓に戻すのに大きな負担を強いられるからです。ちなみに無重力状態では逆に上半身や顔がむくみやすくなるそうです。

靴下のゴムのあとがくっきりと残ったり、靴が窮屈に感じるようになった時に、指で押さえてみるとくぼみができるようならむくみ(浮腫)です。

足のむくみ
図1足のむくみ

病気が原因で起こるむくみ

むくみ(浮腫)が起こる代表的な病気は、心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症、足の静脈瘤などです。足の静脈瘤は外から見てもみみずのように曲がりくねった静脈が分かることが多いため、診断は簡単です(詳しくは 足の静脈瘤 をご覧下さい)。

心臓病、腎臓病、肝臓病で起こるむくみ(浮腫)の多くは、これらの病気が進行してから起こってきます。子どもの急性腎炎のようにいきなり足や顔のむくみを生じる場合を除き、始めから病気があることが分かっていることが多いため、診断に困ることはあまりありません。

むくみに気がついた時

  1. むくみが一日中持続するか?
  2. むくみが何日も続いているか?
  3. 急に体重が増えた?
  4. 顔やまぶたがむくむか?
  5. 尿の出が悪いか? 
  6. 坂道や階段で息が切れる、疲れやすい

などに注意し、これらの症状があれば医師の診察を受ける必要があります。

逆に、ふだん健康な人が、夕方にむくみが強くなるが一晩横になり翌朝になるとむくみが消えている 場合には心配は少ないといえます。

むくみが起こる原因

心臓病、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症などがむくみ(浮腫)を起こす代表的な病気です。しかしこれらの病気でむくむメカニズムは異なっています。

心臓病では心不全があるとむくみが起こりやすくなります。心不全では心臓から全身へ血液を送り出すポンプの力が弱まるため、余分な水分(血液)は肺にたまってきます。
このためむくみに気がつく前に、坂道や階段などで息切れが強くなったり、就寝後1~2時間後に胸苦しさのため目が覚めるようになります(図2、3)

足のむくみ
図2動作時に息切れ

肺にたまった余分な水分は静脈のうっ血を起こすため、足にはむくみ(浮腫)を生じるようになります。

心不全で肺に水がたまる
図3心不全で肺に水がたまる

腎臓病や肝臓病では血液中のタンパク質(特にアルブミン)が減少する低タンパク血症が原因でむくみ(浮腫)が起こってきます。腎臓病ではタンパク質が尿中に過剰に排出される結果、肝臓病ではタンパク質合成の低下の結果、低タンパク血症が起こりやすくなります。

血液中のタンパク質は水分を血管の中に留めておく磁石のような働きを持っています。低タンパク血症では磁石の力が低下するため、細胞外へ水分が移動しむくみ(浮腫)を起こしやすくなります。

心臓病が原因のむくみ(浮腫)が足に起こりやすいのに対して、腎臓病や肝臓病では全身(顔、手足、腹部)に起こりやすい特徴があります。

こうした病気がないにもかかわらず、強いむくみ(浮腫)が顔や足に起こることがあります。このようなむくみ(浮腫)は健康な中年女性に起こることが多く、いろいろ検査しても原因が明らかではありません。更年期以降の女性に多く見られることから、女性ホルモンの影響が考えられます。

甲状腺機能低下症も女性に多く見られる病気です。甲状腺機能低下症そのものでも特徴的なむくみ(浮腫)を生じますが、二次的に起こってくる心不全が原因のことが多いようです。中・高年の女性のむくみではこの病気を忘れてはいけません。
しかしむくみ(浮腫)のほとんどは病気とは無関係に、健康な人に起こってくるものです。

むくみの予防法

実際にはほとんどのむくみ(浮腫)は、病気とは関係なく起こってきます。長時間立っていると血液の重さのために血液が心臓に戻りにくくなります。

こうして足の静脈に余分な力がかかるようになると足がむくんできます。反対に足の血行を良くすればむくみは軽減されることが分かることでしょう。

それではふだんの生活の中でむくみ(浮腫)を予防・解消する簡単な方法を紹介しましょう。

(1)青竹踏み、(2)足の屈伸運動、(3)足枕

青竹踏みは土踏まずを刺激して、足全体も動かすので血行が良くなります。

最も効果的なのは屈伸運動で、下半身を動かして足の筋肉、とくにふくらはぎを動かすことで血液の循環を改善します。

足枕は下におりていた足を上げるため、デスクワークの多い仕事ではある程度の効果があります。

日常の生活の注意としては、

  1. 外出時には靴はかかとが低く、足先が開ける大きめなものにし、ハイヒールはできるだけ避けるようにしましょう。
  2. そして帰宅したら足指を広げて血行を良くし、足を高く上げて休めましょう。
  3. お風呂ではお湯と水のシャワーを交互に当てると血行を良くすることができます。
  4. 就寝前には顔と同じように足もマッサージし、寝てからは足に枕を置いて足を高くしましょう。

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よく見られる大人の病気

1. 診察室でよく見られる症状 肩こり 肝機能障害 更年期障害 口の中の病変 せき めまい 頭痛 動悸 耳鳴り 腹痛 味覚障害と舌の痛み ニオイの異常(嗅覚障害) 胸の痛み(胸痛) 睡眠の障害(不眠症) 胸やけ、げっぷ 胃痛・胃もたれ 腹部膨満感、腹鳴 下痢 便秘 口臭 喉のつかえ(喉の異常感) ふわふわめまい・頭重感 ジャーキング 神経調節性失神 長引く声がれ-声帯まひ 眼瞼痙攣 しゃっくり 疲れがとれない・疲労感 口の渇き(ドライマウス) 手足のしびれ 失神 むくみ(浮腫) 物忘れ 手のふるえ 立ちくらみ おなら 声のかれ 冬のかゆみ あごの痛み-顎関節症 冷え症 こむら返り 頻尿 いびき 鼻出血(鼻血) 鼻づまり 汗の異常 微熱 尿もれ(尿失禁) 金縛り・悪夢 目のまわりや顔の痙攣 大人の歯ぎしり 歩くと足の裏に激痛:モートン病 首の後ろ(後頸部)の痛み 中高年に多い弛緩性便秘 中高年者に多いめまい 中高年者の腰痛のときに考える4つのM 2. 皮膚の病気 毛虫かぶれ 大人の蕁麻疹 帯状疱疹 たこ、うおのめ 薬剤性光線過敏症 いろいろある蕁麻疹 りんご病(大人) 足の静脈瘤 みずむし 破傷風 シイタケ皮膚炎 高齢者の帯状疱疹 3. 診察室でよく見られる病気 慢性疲労症候群 偽痛風 リウマチ性多発筋痛症 線維筋痛症 むずむず脚症候群 前立腺肥大症 過活動膀胱(OAB) 間質性膀胱炎 うつ病 単純ヘルペス感染症(大人) 眼瞼下垂 おとなの百日咳 中年に多い椎骨動脈解離 腸内フローラとは 脳脊髄液減少症 高齢者の急な寝ちがえ:頸椎偽痛風を疑う! 咳が続く…大人にも多い百日咳 痛風 急性扁桃炎 膀胱炎と腎盂炎 EBウィルス感染症 食中毒 機能性胃腸症 慢性膀胱炎 過敏性腸症候群 口内炎 高血圧 微小血管狭心症 痙攣性発声障害 肋間神経痛 偽痛風と痛風、化膿性関節炎に注意 緑内障 女性と痛風 子どもの病気はこちら

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