尿に行ってもまたすぐに行きたくなる、排尿前後に下腹部に痛みや不快感を生じるなどは膀胱炎に特徴的な自覚症状です。
ふつうの膀胱炎は細菌感染が原因で起こり、尿検査で赤血球が増えてくるため容易に診断できます。
しかしこのような症状で受診しても尿検査で細菌が認められない間質性膀胱炎が注目されるようになってきました。
ふつうの膀胱炎は細菌感染によって起こります。
細菌感染の結果、膀胱粘膜に炎症を起こすため、自覚症状としては頻尿だけでなく、排尿前後の不快感や痛みなどの自覚症状を伴います。膀胱粘膜の炎症は尿中には出血として現れるため、程度の差はあっても尿検査では赤血球、ときには白血球も認められるようになります。
これに対して間質性膀胱炎の原因はまだはっきりとしませんが、自分の免疫細胞から炎症を引き起こすサイトカインという化学物質が放出され、膀胱を攻撃して起こると考えられています。
細菌感染が原因ではないために抗生物質を飲んでもなかなかよくなりませんし、尿の異常もふつうは認められません。
長期間続くと膀胱は萎縮する結果、尿が貯まると刺激のために強い尿意とともに下腹部に痛みや圧迫感を生じる特徴があります。
尿の異常が認めにくいためなかなか診断がつかずに困ってあちこちの医療機関を回ることになりかねません。
間質性膀胱炎で悩んでいる人は潜在的なケースも含めると全国に25万人前後いると推定されています。アメリカのデータでは間質性膀胱炎の9割が女性で、20~40歳代に多くみられる特徴があります。
ふつう細菌性膀胱炎は抗生物質を数日間内服するとすぐによくなります。
抗生物質の内服を続けても症状がよくならなかったり、何回も症状を繰り返すときには間質性膀胱炎を疑う必要があります。
間質性膀胱炎の診断や治療は一般の内科ではむつかしく、またガンなどとの鑑別のためにも泌尿器科の専門医に診てもらう必要があります。