(図1) 電車の中でうつらうつらとうたた寝始めたその時、夜にまどろみかけたその瞬間「ドーン」、高い場所から突き落とされたような衝撃を受けて、体は「びくっ」とけいれん、一瞬にして現実社会に引き戻され、きまりの悪さに周囲を見渡したり、周囲からも驚きの目でみられたり、くすくすと笑い声にはずかしさの余り、顔を赤らめてしまった経験をお持ちの方は多いことでしょう。
はずみで腕が飛んでしまい、隣の人に当たってしまったりすることもあります。
どうやらこの現象、入眠時に起こりやすいものなのですが、人間だけではなく、犬や猫といった動物でもみられます。
ではいったいその正体は何なのでしょうか?
寝入りばなに起こりやすいこうした現象は、ジャーキングと呼ばれています。
ジャーキングとは、入眠時に起こりやすい筋肉の無意識におこるけいれんでの一種で、ミオクローヌスと呼ばれる筋肉の不随意運動の一種です。
ジャーキングはほとんどの人が経験するもので、疲労の強いときや眠りの浅いとき、電車の椅子など寝心地の悪い状況で起きやすくなります。
眠りの浅いレム睡眠期に高いところから落ちる夢の最中にも起こりやすいです。
しゃっくりは、横隔膜のミオクローヌスによって起こる現象です。
ミオクローヌスは、自分の意志とは無関係に起こる、筋肉群に起こる素早い稲妻のような収縮です。
ミオクローヌスはこむら返りに似ていますが、始まり方も終わり方も急速で瞬間的にしか起こりません。
急に物を投げつけるような動作や立っている状態で急に転倒することがあります。
てんかん発作の症状として現れることがあり、ミオクローヌス発作と呼ばれます。
ジャーキングは睡眠中に起こる手足のミオクローヌスで、てんかん発作と区別さらに鑑別する必要があります。
ミオクローヌスは健康人でも、眠りかけたときのジャーキングやしゃっくりとしてよく起こります。
しかし、てんかん発作の症状(進行性ミオクローヌスてんかん)として現れることもあります。
また、他の病気に伴って起こることがあります。
肝不全や腎不全、ある種の薬の服用後、アルツハイマー病やクロイツフェルト-ヤコブ病、頭部外傷などに伴って起こることがあります。