便秘は女性に多いと思われがちですが、男性でも50代からの便秘が多くなります。
便秘は一般的には3日以上便通がないと便秘と感じられます。便を送り出す大腸のぜん動運動が弱くなったり、腸の緊張が強くなったりする機能的な原因によることが多いとされます。
胃や腸は平滑筋という筋肉でできており、中高年は大腸の筋力が弱くなり、ぜん動運動が低下しやすくなります。
食事性便秘 | 直腸性(習慣性)便秘 | |
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病態 イメージ |
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原因・病態 | 食物繊維の少ない偏った食事や小食 | 度重なる便意の無視や下剤や浣腸の誤用・乱用によって直腸の感受性が低下。直腸排便反射が障害・欠如 |
症状 | 便意の消失 | |
治療 | 食物繊維の豊富な食事を摂取する | 規則的な排便習慣の確立 |
弛緩性便秘 | 痙攣性便秘 | |
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病態 イメージ |
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原因・病態 | 大腸の緊張低下、「蠕動運動」の低下、腹筋力の衰えによって便の通過が遅延 | ストレスや自律神経のアンバランス、特に副交感神経の過緊張によって、特にS状結腸に「文節収縮」が頻発。便の移動が妨げられ硬便が形成される。 |
症状 | 便秘は持続的 便意は少ない 腹痛は伴わない |
兎糞(コロコロ便)腹痛を伴う 便意は間欠的 |
治療 | 食物繊維の多い食事をとる、適度な運動、機械的下剤の使用、高分子重合体、腸管運動超節薬 | 腸管運動超節薬、抗コリン薬、抗不安薬、精神的に安定する |
便が腸内に長くとどまると水分が過剰に失われて硬くなり、送り出されにくくなります。弛緩性便秘と呼ばれるこのタイプは中高年に多くみられます。
他にも、食事量が少なく腸が元気に動かない、水分不足により便が硬くなる、腹筋の力が落ちて便を送り出す力が弱まる、認知症やパーキンソン病など便秘を合併しやすい病気などが誘因となることが少なくありません。
また、高齢者ではトイレへの移動がおっくうになり、排便をがまんすることで次第に便意を感じなくなることもあります。
慢性化した便秘の治療は、下剤のほかにもさまざまな薬の組み合わせによる薬物療法で適切な排便を促すと同時に、生活習慣を見直すことが大切になります。食事は、3食をなるべく決まった時間にしっかりと食べる、野菜、海草、穀物、主など繊維質が豊富なもの、納豆やヨーグルトなどの発酵食品は腸内環境を整え、便秘の改善を促します。
またウオーキングなどの適度な運動は筋力を維持し、腸の動きを活発にします。排便をがまんしないことも大切です。
毎日便通がなくても定期的に良好な排便があれば、それがその人のサイクルなので問題ありません。しかし、下剤がないと排便できない、下剤の使用が長期におよび次第に効かなくなってきた場合は下剤が癖になる悪循環に陥っている状態なので、適切な治療が必要です。
便秘がひどくなったり、便に血が混じるようになったら、大腸ガンなどの病気が隠れていることがあります。放置しないで必ず医療機関で検査を受けましょう。